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島根県松江市

​阿樹亭

2014年 リフォーム

約136坪の庭を残す事が出来た時点で、このリフォーム工事は終わったのも同然だった。工事にも入っていない、まだ基本計画を進めていた間もない頃だ。クライアントは、庭を残すことに前向きへなって下さり、庭に関しては僕の手元からクライアントへ、全てを委ねた。その時点でやっぱり、この仕事は終わっていたのだと思う。

季節折々で目にする庭の景色は、多彩だ。モミジが緑から紅く変わっていく。アジサイも咲くころには、周りの緑も強い。桜の木は一本もないけど、春を感じ、夏や秋を感じる。雪の日は訪れた記憶がない。きっと、静かできれいだろうと想像する。

室内の天井には、木目の細かいマツ材が張られている。どれも本物で、畳の上に寝転がり天井を見上げた時、マツに包まれる感覚がした。それを経験し、実感したのは完成して4年が経ったあとだ。

クライアントとの出会いは、鮮明だ。DOOR bookstoreへ週1で通っていた時期。いつもお客さんの少ない平日をねらった。その日も1人しかいなくて、そこで紹介されたのが、阿樹亭のクライアントである。その次の日には、あの庭を見させて貰っていた。どこで信用して貰えたのか分からない。でも、今ではとても大切な人生の先輩であり、恐れ多くも友人だという親近感を抱かせて頂いている。

生活部を除いて、畳のある3室はほとんど構っていない。襖の張替えが主で、3室目に隣接した納戸をトイレや洗面、シャワー室へ変更したリフォーム工事である。

チャイアーキ一級建築士事務所
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