毎年、12月は仕事しないよね。
妻に言われて、毎年の事だったと ようやく気づく。
12月はお歳暮の時期だ。
8年前に手掛けた家から、今年できた家まで1軒1軒回る。
アポを取り、尋ねる日時を決める。
何を今年は持っていくか、
いつもいつも頭を悩ます。
毎年、食べられるものを渡そうと考えている。
今年は、カノザの「雲太」に決めた。
建築が完成すると、携わった建築やご家族がいつも気になる。
それじゃあ、お歳暮を渡す機会に
建築がどうなっているのか、
ご家族の様子はどうか、
確かめに行く機会を
強制的に作っているだけである。
そのため、冒頭の仕事しないよね、に繋がるのである。
例えば、オープンハウスへ行き、他の建築家の仕事を見る。
帰り道、どうしても自分の建築に身を置きたくなる事がある。
何か自分にとりついた重いものを取るように、
自分の手掛けた建築に浸り、自分の体を元に戻した事も数回ある。
1年の終わりに、自分の建築に浸る。
温泉巡りのような感覚か。
あるクライアントが
「〇〇町にある安井さんの建築も、我が家と兄弟のような家だと感じています。」
と言ってくれた。
前を通るたびに、いつも感じていた、と言って。
別のクライアントにも同じ話を聞いた。
自分では全て違う建築だと思っているけど、
クライアント達は、それぞれが共通性を感じているのだそうだ。
その甘い言葉に、つい長居してしまう。
そして、また1年後へ向けて動き出す。
写真:
吾郷屋 吾郷直紀 可動式紙人形シリーズ№1「おっさん」
https://www.agouya.com/pages/3774315/page_202004202219
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