• 裕之 安井

2037 変わり目


もし、目の前に10億円があったら、今後、仕事を続けるだろうか。


45歳定年制を口にする大企業のトップ。

45歳以上は、会社に必要ないというメッセージと読める。

僕なんて、あと3年で45歳。


設計事務所を始めて10年目で、まだ建築への手応えも見えていない中、

仕事を取り上げられるとなったら、

中海や大橋川を毎日眺めながら過ごせば良いのだろうか。


同じ職業ではないが、

若い子たちが独立している話を聞いた。


ひょっとすると、そういう人たちが今後増えるのだろうと予測する。

大きな野心を持っている人は少ないだろうと想像する。

ただ、自分の仕事をしたいだけ、と理解する。


冒頭の疑問は、ある親しい作家と話をしていて、思いがけずでた疑問だった。

彼は、「仕事はしない」ときっぱり言った。

「朝から好きな酒を飲む」と嬉しそうに語った。


もう数年前の話なので、今はどうか分からない。

意見が変わったかもしれないし、酒を欲してるかもしれない。


僕はどうだっただろうか。

「こんなしんどい仕事はしなくない」と言ったと思う。


一つ、一つの仕事に命を削っているからである。


作る事への恐怖もある。

人間なので完璧なものは作れない。

分かっていても、不具合が起きれば、落ち込む。

自分を責めてしまう。


しんどいから仕事はしない、と言った。

でも、僕にお願いしたい、その一言で

きっと仕事をするだろう。


ここ数件の仕事の依頼にその思いを感じた。

1軒は、以前携わせて頂いたクライアントから。

親戚の家のご紹介だった。

そこに、安心という言葉があった。


願わくば、今後、10億円が目の前に現れませんように。

自分から仕事を止めたいなんて、言いたくないから。

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