もし、目の前に10億円があったら、今後、仕事を続けるだろうか。
45歳定年制を口にする大企業のトップ。
45歳以上は、会社に必要ないというメッセージと読める。
僕なんて、あと3年で45歳。
設計事務所を始めて10年目で、まだ建築への手応えも見えていない中、
仕事を取り上げられるとなったら、
中海や大橋川を毎日眺めながら過ごせば良いのだろうか。
同じ職業ではないが、
若い子たちが独立している話を聞いた。
ひょっとすると、そういう人たちが今後増えるのだろうと予測する。
大きな野心を持っている人は少ないだろうと想像する。
ただ、自分の仕事をしたいだけ、と理解する。
冒頭の疑問は、ある親しい作家と話をしていて、思いがけずでた疑問だった。
彼は、「仕事はしない」ときっぱり言った。
「朝から好きな酒を飲む」と嬉しそうに語った。
もう数年前の話なので、今はどうか分からない。
意見が変わったかもしれないし、酒を欲してるかもしれない。
僕はどうだっただろうか。
「こんなしんどい仕事はしなくない」と言ったと思う。
一つ、一つの仕事に命を削っているからである。
作る事への恐怖もある。
人間なので完璧なものは作れない。
分かっていても、不具合が起きれば、落ち込む。
自分を責めてしまう。
しんどいから仕事はしない、と言った。
でも、僕にお願いしたい、その一言で
きっと仕事をするだろう。
ここ数件の仕事の依頼にその思いを感じた。
1軒は、以前携わせて頂いたクライアントから。
親戚の家のご紹介だった。
そこに、安心という言葉があった。
願わくば、今後、10億円が目の前に現れませんように。
自分から仕事を止めたいなんて、言いたくないから。
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