
9月は体調不良が続き、危うく入院直前まで体力が落ちてしまった。
寝れない日々が続き、喘息の発作が数年ぶりにでた。
以前より予定していた宮崎出張。
新築住宅の設計が大詰めで、リモート打合せでは詰めれない。
表情を伺いながらの、土地を再度見ながらの打合せが出来た。
敷地内に離れがあり、そこを自分の家のように使わせてもらった。
宮崎は普段、湿気が多いと聞いていたが、
暑さはあるものの、湿度の低い快適な環境で、
宮崎滞在から6日目、松江に帰ってきた僕の体中にまとわりつく湿気に
体調不良の原因の一端を見た気がした。
結果的に、宮崎へ行って体調が戻った。
みるみるうちに元気になったし、家族にも驚かれた。
宮崎人は、とにかく明るい。
食べ物は魚、野菜、お米、全て美味しい。
水が合うとはこのことで、陰から陽の国へ移住したい気持ちも無いわけではない。
その最中、8帖の店舗設計&工事が完成した。
設計から工事まで、約1ヶ月半。
詳細は省くが、大工さんの高精度の仕事、
現場監督の楽しそうな表情と美意識に刺激され、
品のある店舗が出来た。
引き戸も初めて実測せずに工事と同時に製作し
1mmの狂いもなく納まった。
大工さんと現場監督と建具職人の仕事の賜物だ。
あとは使いながら、クライアントが良くしていくだろう。
宮崎でも話題になったが、
島根は職人に恵まれているそうだ。
確かに、宮崎の職人からはどうやって作るのか?
多くの疑問をこちらへ投げ掛けられた。
こちらでは当たり前に出来ている事が、そうではなく、
「そういう仕事をするなら」と福岡から職人を呼ぼうとする。
その感覚に驚いたけれど、竹下美建の竹下くんに言わせれば
「10年以内に島根もそうなりますよ。」と言われた。
その言葉に、リアルさを感じ急に背中が冷たくなる。
職人に対価をきちんと払い、職人を大切にし、
建築家と工事関係者が良い関係を保ち続けるしかないですよ。
竹下くんにそのように言われた。
僕らの一番の恐怖は工事を請けてくれないことだ。
いくら設計図を描いても作ってくれる人がいないと
何もできない。
職人はもちろん、現場監督、工務店が存在しなければ
一体何が作れるだろうか。
宮崎では、県外から来た人間にも優しい。
次の日には、どうやったら作れるのか知恵を絞り
提案してくれた。
それぞれの職人によって技量が違う。
建築家もそうでしょ?
それぞれの技量に合わせて、設計も変えなくてはならない。
お互い歩みよりながら、僕らにしかできない建築を作る。
建築家の一方的な思いは、小さいことなのだから。
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