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執筆者の写真裕之 安井

2051 言葉にできない理由



建築家は、図面を描くことが主な仕事だ。

設計図と呼ばれるもので、その図面を基に建築が作られる。


設計図は、ある意味でコミュニケーションツールになって

他者と共有する事を助ける。


作り手から見ると、間違った図面にも見える時があるだろう。

僕には見えない間違いは、第3者には簡単に見ける事ができるし、

そこから解決策へ導く話に発展する。


図面には寸法といって、具体的な数字が記されている。

寸法のない図面は、相手にも僕にも伝わりにくい。


建築家自身が彫刻家のように作らない限り、

具体的な数字を積み重ねて作るのが、建築である。


その具体的な数字の中にも、施工者の受け止めれない数字が

存在する。


どういう事かと言えば、例えば、428mmとか

549mmといった数字は、430mm、550mmに変換した方が

施工者としては作りやすい。


僕にとっては意味のある1桁の数字も

受ける側にとっては、根拠のない数字に見えてしまう。


僕が数字を決める方法は、1:1、1:√2、1:√3 などの比率や

3で割れる数(尺寸法は、基本3の倍数)を使う。

そうなると、キレイな0が並ぶ数にはならない。


それ以外にも、材料の大きさで寸法を決めたり、

あえて上記で計算した数字を外したり、

その時の言葉にならない感覚で決める。

(その場合、たいてい2~3日寝かす)


理由があり、根拠ばかりの建築よりも

どこか心の琴線に触れる、最も感覚的な理由、、、

言葉にしちゃうと

デザイン・意匠としか言えない部分を作りたい。

(デザイン・意匠という言葉は使いたくない)


じゃないと、僕に依頼する意味がないし、面白くない、でしょ?



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