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  • 執筆者の写真裕之 安井

2078 モナリザ

更新日:6月15日




23歳の時、パリのルーブル美術館へ行った。


目的は建築で(I.M.ペイ設計のガラスピラミッドと階段)

美術品は二の次だったと思う。


知識もなく、親友のお父さんに教えてもらった

「サモトラケのニケ」の前には誰もいなくて

その迫力にゆっくりと浸ることができた。


閑散とした館内で意外な気もしたし

広いからかなーと漠然と感じたりもした。


ただし、

「モナリザ」の前だけは違った。


混みあっている。

人だかりがすごく、なかなか絵に近づけない


正直どうやって近づいたのか覚えていないが、

「モナリザ」の前に立って、

「モナリザ」へ釘付けになって動けなくなった。


天啓を受けたかのように「モナリザ」に見入っていたと思う。

言葉にもならない、

呆然と立ちつくす、

この表現にしか当てはまらない、と今でも思う。


しばらくして、


こんな美しい女性が世の中にいるのだろうか?

今、僕の目の前に

世界一の美女がいる、

見惚れるとはこのことか、と思考しはじめる。


しばらく落ち着くと

どうやって持ち帰れるのだろうか?と

所有したい欲望が芽生えてきた。


今、当時を振り返っても驚くような感情だ。


その時、突然

後ろから肩を叩かれた。


振り向くと同じような歳の

青年が立っていた。

どこの言葉か判別できない、


言葉が頭に入ってこないが

どうやら「そこを退けろ、その席を譲れ」と

言われた気がした。


その瞬間の内側から芽生えた殺意を

今でも忘れられない。


あれは一体何だったんだろうかと

不思議でならない。

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