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執筆者の写真裕之 安井

2087 連想・伝達ゲーム




約50名の学生の前で授業をする機会を得た。

8月からどのような授業にしようと考え、

時には建築以外の方のご意見もお聞きした。


その中でどうしてもやりたい事があって

その一つが授業時間内で行うワークショップ。


スライドの前に立ち、自分だけの話を90分するのに抵抗があり、

折角なら自分の仕事を体験できる時間ができないか、

そう思ったのが、きっかけとなりました。


実際に行ったのは、①連想・伝達ゲームと②疑似体験。


①連想・伝達ゲームは、

1列でチームを組み、第1者のみにある答えを見せる。

例えば、答えを『鹿』とした場合、


『鹿』を連想する言葉を思い浮かべる。


〇動物です

〇角が生えてます

〇奈良公園にいます

〇宮島にもいました

〇せんべいが好きです


みたいに。


その連想した言葉を次の人、次の人へ伝達し、最後の人が答えを想像し

正確に伝わったかどうか、判断するゲーム。


僕の意図は、

正確に連想したり伝達する事を目的としたのではなく

第1者から、異なる答えを自分で受け取り

他者へ伝えている体験を可視化して欲しかったこと。


どういう事かというと、

第1者へまず

「羊の絵が描かれたトランプ」を見せると、


ほとんどの人は、『羊』『ヤギ』と思い、

そこから連想する言葉を伝え始めたが、

『トランプ』を元に言葉を伝えても良かったわけです。


同じモノから『羊』や『ヤギ』、もしくは『トランプ』と

受け取る人によって、それぞれ別のモノを伝えてしまう。


連想した言葉を受け取った人たちも

それぞれで違うイメージを頭に想像しているわけで、


受け取った想像と言葉は、

はっきりしないあやふやなものなんだ、

という事を体験して欲しかったのです。


このゲームが

僕の仕事と何に関係があるかというと、


クライアントとの対話(打合せ)の風景が

実はこういう事なんだと思っているからです。


100%を相手へ伝えることなんて出来ません。

家族相手にすら難しいのに、

初めて会う方になんて尚更です。



クライアントは、

あいまいな(象徴的な)言葉、まだ形になっていない言葉を

建築家へ向けて話します。


建築家は、あいまいな(象徴的な)言葉を聞いて、頭で想像します。

これをお互いの言葉や時には画によって繰り返すわけです。


対話とは、この繰り返しで

その中から思いがけない創作のヒントや想像の飛躍が生まれます。


僕の仕事は、この対話がないと始まらないし

むしろこの過程が重要で、

出来上がった建築や住宅は、その結果でしかないのです。


だからこそ、

ここの対話が大切なんだ、という事を

お伝えしたかったのです。



学生は、連想した言葉を発し、言葉を受け取り想像する。


このゲームを通して、建築家の仕事の一端を

可視化し考えるきっかけになると僕は思っています。


連想・伝達ゲームは、思いのほか盛り上がり

2回目も間違うチームも出たお陰で

僕のお伝えしたかった事を感じて貰えたのではないかと思ってます。



その次に行った②疑似体験のワークショップは

次回に書きます。


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