top of page

2092 これからの普通

  • 執筆者の写真: 裕之 安井
    裕之 安井
  • 4月28日
  • 読了時間: 3分

更新日:5月10日



どんな建築を目指すべきか

いつも頭に浮かぶ疑問。

今の流行とはいえないけども

複雑な操作をもつ建築に

自分も挑むべきかと頭を過ることもある。


いつも自分自身は

振り子のように

ぶれにぶれた人間だ、とも思う。



最近、あるドラマを見て

「良質な普通をつくる」というセリフを聞いた。

そのセリフがずっと心に残っている。



一見普通に見えるけれど

そこに身を置くと、

視覚以外の感覚で心地を感じる場所。


良質とは、使ってる素材だけではない、と思う。


僕も良質な普通を作りたいんだ、と思うと同時に

そこに「品」も入れたい。


品や質の良いものは、見た目では図れない。

ましてや数値にも表すことができない。


よく言う、その奥にあるもの、という言い方をするけど

その奥にあるものを感じる人も少なくなった。



先日、建築家の宇田川さんから連絡をもらい

松江市内の新築住宅を案内して頂いた。


家から近いため、

リトルカブで向かう。


少し早く着いたのか、

宇田川さんは居られず、しばらく外から眺める。


佇まいが良い。

決して高価な外壁材ではないが、

その姿に惹かれるものを感じる。


敷地に対する配置も

後ろの家とほぼ同じ位置に立ち

その分、抜けが前面道路からきれいに生まれ

背後の山まで 視線が抜ける。

この配置しかない、と思わされる。


室内に入ると、天井高さが抑えられ

少し狭く感じる。

ぐっと抑えられた天井高さには、理由があった。


ダイニングの上が吹抜になっていて

大きな窓と共に、そこに吸い寄せられるのだ。

宇田川マジック。


その緩急というか、

自ずとその場所に留まりたいと

思ってしまう。


この空間になれると、落ち着く場所が

吹抜け以外にも見えてくる。

どの場所も落ち着く。


結局、

次の来客が到着するまでの

2時間30分も滞在していた。

(時間が溶けるようにあっという間だった)



書きはじめたら切りがないが

最後に2階の寝室を紹介して終える。


2階の寝室は、1階と違い

屋根の勾配と同じ天井になっている。

外壁側は1.8mで、棟に向かって天井が上がっていき

1間分、棟から折り返して下がる天井で

兎に角、良い。


おおらかで、伸びやかで落ち着く。

ここは寝室でなくても

別用途でも使えそうだし

子どもたちが独立したら、

僕は仕事場兼書斎にしたい、

そう思えるほど、お気に入りの場所に思えた。



冒頭にも書いたように

どんな建築を目指せばいいのか?

という疑問に、

宇田川さんの建築を通して

見えてきた。



良質な普通。品のある普通。

やっぱり自分は、こっちが好きだ。



 
 
 

Comments


Commenting on this post isn't available anymore. Contact the site owner for more info.
チャイアーキ一級建築士事務所

連絡先:

住所:島根県松江市

​右のお問合せから ご連絡下さい。

  • YouTube
  • Instagram

© 2023チャイアーキ一級建築士事務所

​お問合わせ:

メッセージが送信されました。

bottom of page