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撮影:㈱七雲(森 善之)
島根県松江市
ミキハウス
2014年 新築
今なら改修を勧めていたかもしれません、そう伝えると、それはないですよ、とやんわりと否定された。当時の僕では思い描けなかった改修という もうひとつの選択肢。私は新築が良かったです、と芯のこもった言葉で返される。
庭の芝は綺麗に刈り込まれている。レモンを頂いたり、植えた果実の収穫を聞いたり、毎年こちらも楽しみにしている。
初めは写真のような2階建てを計画していなかった。平屋で計画していて、見積書も取った。最後の最後、2階建てを希望されていると知った。
僕に遠慮されて言えなかったのだろう。僕は恥じて、2階建て案を一気に作って、提案した。工事を始める1ヶ月前の話だ。これは自慢でもなく、人間やれば出来るんだと素直に思った。自戒を込めて、そんな経験は2度と御免だ。
祖先が大切にしていた松の木を残す事、松を眺める仏間(客間)を独立して作る事、吹抜けのある場所を作る事が求められた。
玄関を挟んで、仏間(客間)と生活エリアを離した。キッチン、ダイニング、リビングはそれぞれ8畳の大きさとし、L型に繋いだ。
いつ訪れても心地よい空気を感じる。前の家の松材を利用したテーブルに座ると、時間を忘れておしゃべりする。視線の先は、窓から外を見たり、空を見上げたりする。
外部からの視線は上手く逃がしてある。日中はカーテン等使っていない。この家に包みこまれるような安心感は、森の中にひそむ小動物のようだ。
妻から、私はこの家が一番好き、と未だに言われ続けている。
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