2096 来待石
- 裕之 安井
- 8月25日
- 読了時間: 3分
更新日:8月25日

派手な建築を好まないと
独立当初から思われていますが、
そうではなく、設計段階でクライアントから
軌道修正して貰った事が大きいのです。
独立当初は、建築家とはこうあるべきだと
思い込んでいた部分があり、今思えば恥ずかしくなります。
僕のクライアントは、それを望んでいないのです。
ですから今まで運よく実現されませんでした。
おかげ様で、今ではすっかり
クライアントからの軌道修正も無くなりました。
僕は、 単価の安い材料の中で
なるべく自然素材のものを選択して
使っています。
既存材料があれば、好んで再利用したい、
とも思っています。
なぜなら、歴史という時間が
既存材料の雰囲気を作っているからです。
(僕らは、歴史までは設計できません) 自分は、リフォームの方が得意だと思う理由はいくつかあります。
その一つが、既存材料を好んで使いたいと
思ってるからでしょう。 今まさに新築住宅が完成間近です。
特別な材料は使っていません。
前にも書きましたが、使わなくても
建築が作れるようになりました。
(プロポーションとか、素材の組合せとか、めちゃくちゃ考え迷ってますが) もちろん、建築を実現するには、
良い職人が欠かせません。
特に大工さん、建具屋さん、電気屋さんです。
この3点は、独立当初からずっと意識して探していました。
今では、信頼できる職人さんにお願い出来ています。
僕が職人さんに求める基準は、その人の姿勢です。
時には暴走する建築家に対して諫言を躊躇なく言う
そういう方を尊重しています。
そして、その建築に携わる仕事を喜んで
して下さるかどうかを見てます。
それは、一緒に仕事をしたら分かります。
僕の建築は、一見したら何もしてないように見えます。
派手さがなく、シンプルです。 普通を目指しています。
今回の現場で、はっきりとわかった事は、
シンプルを実現するには、
作り手が、何倍もの労力と集中と
知恵を使っているということです。
何度も助けて頂きましたし、
何も言わずさらっと作って下さいました。
150年前の来待石が
現場に残っていました。
その石を新築住宅に使いたくて、
今回、玄関の床に使いました。
外構工事にも使う予定です。 (150年前の石州瓦は、砕いて外構工事に使います) クライアントは、戸惑っておられますが、
当時の職人が手で彫ったノミ跡が良いのです。
どれを見ても同じものがなく、崇高です。
来待石も、硬く、締まっています。
今まで見てきた来待石の中でも
質が違います。
当時の石は高い品質だったのでしょう。
現在には、このような品質の石は、掘り出せません。
その事を説明しても
クライアントは、ピンとこない様子です。
僕の空回りか、と反省した矢先、
母屋に住むクライアントのお父さんが
凄く喜んで、話しかけて下さいました。
「ご先祖様も喜んでるわ」
嬉しそうなお父さんを見て
作り手たちは、救われています。 (いつの日かクライアントにも伝わると嬉しいです)




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