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  • 執筆者の写真裕之 安井

2032 半場唯建築アトリエ

更新日:2021年10月28日



12月12日㈰ 半場唯さんのお誘いを受け、ご自宅を見せて頂いた。

彼女の仕事にとって2作目の仕事で、

彼女自身のインスタ写真により、大まかな様子は事前に知っていた。


彼女は、江角アトリエにスタッフとして勤めていた頃からの

顔見知りで、彼女が独立してからより多く、接する機会が増えた。


正直に書くと、彼女のインスタ写真を見ても、

「絶対に見せて欲しい。」という気持ちが湧かず、

直ぐにお暇する気持ちが無かったわけではない。


結果、3時間超 居た。

端的にいえば、すごく良かった。


半場さんは30代半ばで、その年代で言えば

島根でもトップだと思えたほど。


何が一体良かったのだろうか?

そしてなぜインスタ写真には惹かれなかったのだろうか?

それを文章にしたいと思い、記す。


こういう話がある。


「新築住宅に呼ばれて行って、特に目立って褒めるところもないし、

 けなす所もない。すぐに帰りたいとも思わず、つい良い気持ちになって

 ずるずると長く居た住宅が建築の極致である。」


吉田五十八著「饒舌抄」に書いてある冒頭部分を端的に記した。


そして家に帰る。

なぜ良かったのか、思い出しながら考える。

妻にその事を伝える、そういう建築が良い建築だと、僕も思う。


では半場建築の何が良かったのか、

言葉にするのは難しいけど、


スケール感覚が良かったと思う。

玄関は無いけど、車庫側の入口から入り、まっすぐ土間が

ダイニングキッチンへと続く。

長めの廊下には、トイレ、洗面・風呂へと繋がる扉が見える。

この廊下の高さは、1,920mm。

図面を見ると、2,000mmと書いてあるが、現場で変更したのだろう。

その判断も際立つ。

洗面・浴室へは1段段差をつけ、さらに高さを絞ってある。

僕の頭が当たりそうで遠慮したけど、体験すれば良かった。


廊下を抜けると、10畳くらいのダイニングキッチンへ。

高さは通常のスケールだと思うけど、

狭いトンネルを抜けた後なので、心地よい高さに感じる。


キッチンはコンパクトだが、ダイニングと一緒の為

狭さを感じないし、なぜだか落ち着く。

窓のあいている位置も違和感がない。


自分たちで仕上げたという柔らかい壁仕上げも、心地よい。


その奥には、これまた段差のある和室。

こちらもコンパクトで、居心地が良い。

ここなら僕はゆっくりと過ごせそうに思う。


2階は、一転、梁が見える大きな容積の空間だった。

こちらも素晴らしく、1階のコンパクト差とは違うスケールを感じた。

この1・2階への行き来が良くて、話し中も何度も上下へ移動した。


半場さんのご自宅は、派手なところがない。

建築家がついやってしまう実験的な所や、

あからさまな意匠デザインも皆無だ。


ただ単に彼女と家族にとって居心地の良い場所は何かを

考え続けた結果、できた住宅だと思う。


1作目は肩ひじに力が籠っていたのだろう、

自邸にはそれが見られなかった。


これから半場さんはどちらの方向に向かうのだろうか。

1作目か、2作目(自邸)の方向か。


話をしていると、後者のような気がして、とても嬉しくなった。



最後に建築写真について。

僕の建築は、写真という表現には向いていない建築だと思っています。

その為、写真以外の方法で伝えられないか模索しています。


きっと、半場さんの建築も写真という表現には向いていない建築だと

体験して分かりました。



写真は取り忘れましたので、

彼女のサイトをどうぞご覧ください。


半場唯建築アトリエ

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